PROJECT

募集テーマ

児童養護施設への措置費の支払いを効率的に行いたい!

テーマ紹介

募集中

ポイント

01

解決したい課題

児童養護施設の数が増加傾向にある中、毎月の請求対応等、支払関連業務に多くの時間と人手を取られている。
※措置費:児童福祉法の規定に基づく措置に伴う経費であり、児童養護施設に入所措置を採った場合又は里親への委託の措置を採った場合に、国や地方自治体から施設、里親に対して支払うものです。

02

想定する実証実験

施設側の請求書等の作成と、県側の内容点検や支払い等を補助するツールによる業務効率化の程度を検証する。

03

実現したい未来

事務負担の軽減により、施設に入所する児童への支援の充実を図る。将来的には、施設だけでなく、同じく措置費制度で支払いを行っている里親からの請求事務にも応用することで里親側の事務負担軽減を図り、里子の受け入れを促進する。

04

提案企業が得られるもの

全国一律の制度に基づく事務のため、各都道府県・政令市・児童相談所設置市の他、各施設や里親等において広くニーズが見込まれる。

ストーリー

【必要なお金を速やかに支払うために】

児童家庭課 では、児童養護施設や乳児院等、何等かの事情により家庭を離れて生活する、いわゆる社会的養護下の子ども達が入所する施設に関する業務を行っています。内容は様々ですが、緊急性の高い業務も含まれ、即座に対応が必要になることもしばしばあります。一方で、施設への支払い等の定例的な事務を疎かにする訳にはいきません。支払が滞れば施設の運営に支障を来たし、入所している子ども達の生活に直結する問題を招きかねません。
こうした中、施設からの毎月の請求に速やかに対応するため、非常に苦労しています。
各施設から子ども達の生活のための費用や施設を運営するための事務費等の請求を受け、期限までに内容を確認して支払う。言葉にしてしまえばそれだけのことですが、実際の作業はそうすんなりとは行きません。
県内には、22か所の児童養護施設を始め、多くの児童入所施設が存在します。愛知県の児童相談所がこれらの施設に入所措置を行っている子どもについて、国の制度に基づき措置費の支払いを行うことになりますが、中には県外の施設に入所している例もあり、毎月概ね70か所程度の施設からの請求に対応しています。

【増え続ける請求数】

国は、家庭に近い環境において養育を行うため、里親委託等の方法と併せて施設の小規模化を進める方針を打ち出しており、以前は主流であった数十人単位の大規模施設を小規模ないくつかの施設に分ける動きが進んでいます。また、施設を退所した後の自立生活を支援するための小規模施設等も増えており、当面こうした流れが続くものと予想されるため、請求数も増え続けることが見込まれます。人手を増やすことによる対応には限界があり、これまでのやり方を見直す必要性を、この業務に関わる誰もが感じて来ました。

【複雑化する制度】

件数の伸びもさることながら、1件1件の請求書自体、内容を確認するには時間と労力を要します。
それぞれの子どもについて、年齢等により支給額は異なり、また、購入した物品や通学費用等については領収書の内容確認も必要になります。対象となる経費は徐々に拡充傾向にあり、点検が必要な資料も増えています。
さらに、近年、国の制度も徐々に充実が図られて来ており、その分複雑化していますので、各施設から「この経費は対象になるのか」「この職員は加算要件を満たすか」等、様々な問い合わせが寄せられる事も少なくありません。担当者はその対応にも追われることとなります。

【進まないカイゼン】

担当者だけでの対応には限界があるため、少しでも速やかに、かつ誤りの無い様に処理を行うべく、現状ではやむを得ずグループ全体で分担する等して作業を進めていますが、各自が別の業務も担当している中、請求対応業務にかけることのできる時間は限られます。より効率的な方法を模索したいと考えながら、目の前の仕事に追われ、抜本的な業務改善に取り組む事ができない状況が続いています。

【こんな提案を待っています!】

上記の様な窮状の中、我々が常に考えているのは「いかにしてかかる人手を減らすか」という事です。しかし、内部で工夫すると言っても、時間も技術も足りないのが実情。そこで、今回の募集に踏み切りました。少ない人数で、短時間に確実な処理を行うための提案を切実に求めています。

(改善策の例) ※これらを施設側と共有し、請求書の作成事務も効率化できることが望ましい
請求書を細かく見ながら電卓を叩く → システムやエラーチェックツールでスピーディーかつ確実に点検!
領収書を1枚1枚目視でチェック → カメラツール等で自動突合!
複雑な制度を調べるために国の通知を読み込む → チャットボットが即座に回答!
施設毎の請求単価を設定するため毎回複雑な制度と照合する → 施設の条件から自動で設定!  等

全国に同じ様な課題を抱えた自治体は数多くある様に思われ、また、施設側からも、事務作業を効率化したいと思いながら実際にはどうして良いか分からないという声が多く聞かれるため、潜在的なニーズも期待できると考えます。
また、ほぼ全ての都道府県では、国の方針に基づき里親を積極的に増やしていくための取組を考えている最中であり、先々は施設だけでなく里親の事務負担軽減にも役立つ様な仕組みができれば、ニーズは更に広がると思います。

【終わりに】

国の発表によれば、全国には何等かの事情で家庭を離れ、施設や里親のもと等で生活している子ども達が約4万2千人います。児童相談所における児童虐待の対応件数も増加傾向を続ける中、今後も社会的な支援を切実に必要とする子ども達がいることは明らかです。こうした子ども達が安心・安全に暮らし、自身の未来に希望を抱いて成長していくことができる環境を整えていくことは、社会全体の使命であり、彼ら彼女らが創っていく次の世代の社会に対する貢献でもあります。
今回の募集内容自体は、直接子ども達の支援に関わるものではないかもしれませんが、施設への支払い事務を効率化し、施設側の事務負担も軽減することができれば、安定的な運営を確保し、子ども達により良い支援を届けていただくための助けにもなると考えています。是非、積極的な御提案をお待ちしています。

概要

背景 虐待等何等かの事情により家庭を離れ施設や里親のもとで生活する、いわゆる社会的養護下の子どもは全国に4万人以上、県内でも概ね千人以上おり、子ども達が安心安全に生活することのできる環境を安定的に確保することが益々重要になっています。
こうした子ども達の生活費や施設の運営費等は国の定める措置費で賄われ、各施設等からの請求に基づき各都道府県等が毎月支払いを行いますが、施設の小規模分散化等により請求数が増加しています。
また、様々な要件に基づいて措置費を上乗せする加算制度等もあり複雑な仕組みとなっており、制度全体を十分に理解した上で事務処理を行う必要があることから、請求を行う施設側も含め事務負担が大きく、担当者の交代等により業務の遅滞が生じやすい状況にあります。
課題(詳細)
  • 限られた人員体制の中、大量の請求書類等を期限内に適切に処理するためには業務の効率化が必須であるものの、現状では担当外の職員も含め人手をかけることで処理せざるを得ず、大変非効率な状況です。
  • また、制度上各施設の事務員は1名のみの配置であり、施設側の事務負担も大きいことから、請求書類の内容の誤りや問い合わせの件数も多く、これらへの対応にもかなりの時間を要しています。
求める解決策
  • 施設側が請求書を作成する際に入力補助やエラーチェックを行うツール、県側の請求内容や添付書類の確認を補助するツール等の開発(これらの機能を備えた請求事務専用のシステム、またはこれに代わる個別ツール等)
  • 制度全般に対応した、問い合わせ対応用のチャットボット等の開発
  • 各施設の人員配置や入所定員、加算要件への該当有無等に基づき、施設毎の請求単価を設定する事務(基本的に毎年度1回県側で実施)を補助するツールの開発
  • ※応募にあたり解決策のすべてを網羅する必要はありません
想定する実証実験内容(詳細) 上記の様なツールを当課及び施設(3~5か所程度を想定)に導入し、毎月の請求事務や加算制度に基づく加算認定・単価設定事務(年1回)に係る作業量や所要時間の削減がどの程度可能になるかを検証する。
実証実験成功後の発展性
  • 国が定める措置費制度に基づく事務のため、児童の措置決定を担う児童相談所を有する全ての自治体(都道府県47、政令市20、児相設置市5、児相設置特別区10)において同様の課題が生じ得るため、システムが開発された場合にはこれらの自治体においてもニーズが見込まれる。
  • 併せて、児童養護施設600か所程度をはじめ、乳児院や児童心理治療施設、児童自立生活援助事業所等、全国に展開する関連施設等においても、請求事務の省力化・円滑化のニーズが見込まれる。
  • その他、里親からの請求事務や別種の補助金申請事務への応用等も考えられる。
提案企業に求める専門性 システム開発やウェブツールの作成等に係る技術と、類似事例における実績を有することが望ましいと考えます。
プロジェクトの進め方
打合わせ方法
毎月1日から15日頃まで請求書への対応が立て込むため、月の後半の打ち合わせが対応しやすいかと考えます。操作説明等に不都合がない場合には、オンラインでも構いません。
提供可能なデータ・環境等 現行の請求書様式や国の通知データ等は提供可能です。
その他、施設との意見交換の機会等も可能な限り設けたいと考えます。
プログラム終了後の本格導入 実証効果が認められる場合は、将来的な導入を検討します。

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