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感染症発生動向調査をデジタル化し、事務作業を効率化したい!

テーマ紹介

受付終了

ポイント

01

解決したい課題

  • 調査業務の作業フローが煩雑で、事務作業に多くの時間をとられ専門分野に注力できない。また、手入力や目視確認する作業工程が多く、医療機関や国への調査結果の還元が繁忙期には遅れがちである。
  • 調査票が紙媒体であるためデータが利活用できない。

02

想定する実証実験

  • 医療機関からの調査票の受付・調査結果の還元をオンライン化し、効率性かつ実用性を検証する。
  • デジタルワークフローシステムやRPAの技術を活用して、手作業や目視確認する作業工程を自動化し、作業時間を短縮できるか検証する。

03

実現したい未来

  • 感染症発生動向調査のデータを利活用し、県民の健康で安心な暮らしへ貢献できる有益なものにする。
  • 専門分野への注力により研究成果が向上できる。

04

提案企業が得られるもの

  • 全国の衛生研究所でも同様の課題が想定されるため、他自治体への展開。
  • 衛生研究所内での感染症発生動向調査以外の様々な調査業務へ活用も可能。

ストーリー

県民の生命と健康を守る拠点

 愛知県衛生研究所ウイルス研究室では、県民の生命と健康を守る拠点として、試験検査、調査研究等を日々行っています。そのうちの一つとして感染症発生動向調査を行っており、中でも「病原体サーベイランス」があります。これは、県内でどのようなウイルスが流行しているのかを把握するための調査業務です。県では昭和51年から行っており、県が感染症の発生状況を把握し、国と情報共有することで、感染症の発生やまん延を防止することを目的としている重要な調査です。
 本調査では、医療機関からの検体受領の際に、患者情報を紙媒体からデータベースへ手入力しています。検査終了後、結果をデータベースから紙媒体へ手作業で転記し、紙媒体で結果を医療機関に還元しています。また、研究所内で構築したデータベースとNESID(国への報告システム)がリンクしていないため、システム間ですら手入力で情報を登録しています。
 このように何度も手作業が介在する情報伝達では、入力ミスを防ぐための細心の注意を払っていることもあり、時間と労力がかかってしまっています。デジタル化によって手作業による時間を短縮することで、新たな感染症発生等の健康危機への迅速な対応や、緊急を要する検査や研究業務への従事割合を増やして専門性を高めたいと考えています。

疾患別ウイルス検出状況

何度も現れる「紙媒体⇔手作業⇔デジタルデータ」

 現在の感染症発生動向調査の大まかな流れは次の通りです。

現在の業務フロー

 このように衛生研究所の外部と内部とのやり取りにおいて、手作業による転記作業があります。そして、入力ミスをしないよう細心の注意を払っているため、どうしてもこの事務作業に時間と労力がかかってしまっています。このような問題に対し、現状では複数人によるダブルチェックというアナログな対応をしています。

現在の業務フロー

上に示したものが、検体とともに届けられる調査票の様式です。この調査票が紙媒体で届くため、私たちは次のことに頭を抱えています。
◆手書きなので…
同じ内容を示していても医療機関及び医師により、記載の仕方が異なるので、ベテラン職員による判断が必要になることがあります。また、単純に判読が難しい文字もあるため、記載内容の理解が難しい時があります。
◆結果の還元が遅れがち・・・
検査結果は、届いた紙媒体の調査票に記載するため、手間と時間がかかります。書く量を減らすために一部はゴム印を使用していますが、検査内容は調査票によって異なるので、どうしても手書きを必要とする部分があります。またその後の流れは、衛生研究所内で決裁後に郵送で保健所に、保健所内で決裁後に郵送で医療機関に、という流れのため、郵送する手間と時間が必要になっています。
◆データをもっと活用したいのに・・・
手入力が多く、時間の都合上、検査に必要な最低限の情報しか入力できておらず、今後研究等で入力されていない情報が必要になった際には、紙資料から探さなければならない状況です。また、データベースへの検査結果の登録も最低限で、最終結果の「○○ウイルス陽性」「陰性」というだけとなっています。つまり検査結果の詳細は紙資料への記載で留まっています。例えば「Vero細胞でウイルス分離&中和試験を行った結果、▲▲ウイルスが同定された」ということがあった際に、結果としては「▲▲ウイルス陽性」と登録されます。そのため現状では「Vero細胞でよく検出されているウイルスは何か?年間どれくらいの数なのか?」ということを調べたい場合、紙資料の束から遡って集計していかなければならない状況です。

現在の業務フロー

シームレスな情報伝達を実現!

 検体搬入から結果の還元までシームレスな情報伝達できるシステムを構築することで、感染症発生動向調査における事務作業の大幅削減を実現したいと考えています。
 これを実現することができれば、事務作業の時間は短縮し、研究活動への時間が確保できます。さらに蓄積したデータの活用によって新たな事実や知見を発見することが期待できます。そして研究成果を挙げることは、県民の健康を守ることにつながると考えています。
 またシステムを構築する上では、今後、新たな検査項目や解析方法等に対応できるように、柔軟性と拡張性のあるシステムにしていただけると、大変助かります。

波のデジタルイメージ

専門性の高い研究所を目指して

 今回の実証が成功すれば、感染症発生動向調査における事務作業を大幅に削減することができるため、より一層研究活動に専念することができます。また、これまで蓄積することができていなかったデータを蓄積することで、新たな知見が得られることが期待できます。これらによって活発に研究を行い、専門性を高めていくことは、地方衛生研究所の責務であり、県民の健康の保持・増進に繋がると考えています。
 近年、全世界で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症を通して、感染症の脅威は誰もが経験したことかと思います。このような感染症を早期に発見することや解析することは、衛生研究所の重要な役割です。県民の皆様に安心して暮らしていただけるよう、日々責任を感じながら業務に勤しんでいます。そんな我々が抱える課題の解決に向けて、共に歩んで下さる企業の方、ご応募お待ちしております!

担当者の写真

概要

背景 衛生研究所ウイルス研究室では、感染症発生動向調査を行っており、中でも「病原体サーベイランス」業務を担っている。これは感染症法に基づく事業で、県内に定められた30の定点医療機関から提出された患者検体について病原体検索を行い、県内でどのようなウイルスが流行しているのかを把握する大切な調査である。 また、分離・検出されたウイルスについて詳細な解析をすることで、流行ウイルスの性質の変化を解明したり、新たなウイルスを発見したりといった「研究」業務も我々の重要な使命である。 このように、衛生研究所は県民の生命と健康を守る科学的・技術的拠点としての役割を担っている。
課題(詳細) 病原体サーベイランスでは例年約2,000件の調査を行っている。現状では次のような問題点がある。
1.医療機関からの調査票の受付・調査結果の還元を紙媒体で行っている
2.一連の業務で使用しているいくつかのシステムが連携していない
3.データベースが調査票(患者情報)や検査結果情報の全データ登録に対応していない
4.検査項目の選定等、ベテラン職員の判断に頼っている工程がある

その結果、次のような課題が生じている(括弧内に起因する問題点を番号で示した)。
事務作業に多くの時間がとられ、病原体検索や研究といった専門性の高い業務に注力する時間が圧迫されている(①、②)。
医療機関や国、県民への調査結果の還元が遅延する(①、②)。
一部のデータが蓄積されず、それらのデータを活用した疫学解析等の有益な解析が困難になる(③)。
職員の異動があるため、慣れていない職員が戸惑うことがある(④)。

日々実施している病原体サーベイランスの具体的な業務フローは次のとおりである。

(1) 医療機関・保健所から紙媒体の調査票と検査検体を受け取り、調査票と検査検体を照合
(2) 調査票の記載内容をデータベースに手入力で登録(検査に必要な最低限の情報のみ入力)
(3) 臨床診断名や医師のコメントを基に、ベテラン職員が検査項目を判断し、検査を実施
(4) 端的な検査結果を手入力でデータベースに登録(詳細なデータ等は紙資料や担当者の手持ちとして保管)
(5) 結果一覧を出力し、紙媒体の調査票に手書きで結果を記入
(6) 総合文書管理システムを使って衛生研究所内で決裁
(7) 決裁確認後、結果票を医療機関・保健所に郵送
(8) 検出ウイルス情報を手入力でNESID(国の報告システム)に登録

手入力の工程が多くあるため、入力ミス防止のためのチェック工程もあり、時間と労力がかかっている。また、データベースには検査に直接必要でない項目(たとえば臨床症状)の入力は割愛しているため、「40℃以上の発熱がみられた患者さんから多く検出されるウイルスは何か?」などといった解析を行うことが困難となっている。
求める解決策
    <MUST>
  • オンライン上でデータを送受信できるシステムを導入
  •  →医療機関との患者情報、検出結果のやりとりを簡略化
  • デジタルワークフローシステム構築
  •  →医療機関からの情報をデータベースに自動反映
     →詳細な検査結果データを蓄積
     →検査結果を医療機関へ迅速に還元
     →総合文書管理システムと自動でデータ連携することで、決裁処理を効率化
  • NESID(国の報告システム)への登録を省力化
  •  →RPA等の技術を活用し、手入力を無くす
    <WANT>
  • AI等を活用して検査項目を提案
  •  →患者情報や過去の検出成績から、検査項目の選定を自動化・効率化
想定する実証実験内容(詳細)
  • 患者情報と同じ形式・量のデータを用意して、帳票作成、医療機関への結果票の通知、NESID(国の報告システム)への登録までを行い、現状の事務処理時間と比較してどの程度削減できるか検証する。
  • デジタルワークフローシステムはクローズ環境に用意し、現状の作業工程を自動化することで事務処理時間の削減効果を検証する。(実証では端末1台を検討しているが、予算化以降は台数を増やす想定)
  • 医療機関とのオンラインでの情報の送受信は、30ある病原体医療機関のうち5件ほどに協力を依頼し実証を行う予定である。
  • 現状と同じ仕様で各帳票の出力と編集をできるようにする。
  • NESID(国の報告システム)へPRA等を活用して自動的に登録できるようにする。
  • AI等の技術を活用し、検査項目の選定を自動化できるようにする。
実証実験成功後の発展性
  • 全国に約80ある地方衛生研究所の多くは、病原体サーベイランスにおいて同様の課題を抱えていると思われるため、他自治体への展開が期待できる。
  • 病原体サーベイランスに限らず、食中毒検査、収去検査等の様々な検査・調査への応用が可能だと考えられ、他自治体や県の他部署等への展開が期待できる。
提案企業に求める専門性
  • デジタルワークフローやデータベースに関する知見およびソリューション提供
  • RPAに関する知見および構築
プロジェクトの進め方
打合わせ方法
オンライン会議及び対面での対応可能。
提供可能なデータ・環境等
  • 実際の運用で使った調査票を使用する。
  • 検体検査は実証では行わず、あくまで事務処理作業での検証とする。
  • NESID(国への報告システム)については、テスト環境がないため、登録完了ボタンを押す手前までの検証とする。
プログラム終了後の本格導入 実証効果が認められる場合は、将来的な導入を検討する。

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